我々は日常生活や職場での人間関係で誤解と頻繁に直面する。
そのせいで伝えたいことが十分伝えられなかったり、解釈誤って仲悪くなったり、誤解が原因で失敗することが多々ある。
できれば誤解ゼロを目指したいところです。
そこで誤解が生じてしまう原因と誤解を防ぐ方法を紹介します。
なぜ誤解が生じてしまうのか。
この原因を知れば誤解は防ぐことができる。
その原因は、我々がやってしまう3つのコミュニケーション癖にあると考えている。
次の3つのコミュニケーションの癖です。
- 省略する
- 自分の解釈を優先する
- 相手に合わせる
それぞれどういうことか具体的に解説します。
1. 省略する
我々には、話の内容を省略する癖がある。できるだけ、短めに伝えることで楽したい気持ちがある。
よっぽどのことがない限り、自分が持っている情報をあまり話したがらない。
これが無意識に力の温存という実感につながるのでこの癖は意識しない限り直らない。
自分の誤解を自分で作っているというわけです。
2. 自分の解釈を優先する
我々は自分の解釈を優先する。そして、聞いた話に自分の解釈を加えて相手に伝える。
当たり前ですが、自分の解釈だけでは誤解を招きやすいこともありえる。
さらに自分の言葉で表現するので本来の意味合いとずれてしまう可能性も十分ある。
思い込みで語っているわけです。
その時点で本来の情報からかなりの部分が伝えられずに失われている可能性もある。
どうしても、自分の解釈が入るので事実をありのまま伝えることは結構難しい。
3. 相手に合わせる
我々には伝える情報を伝える人や環境に合わせて補正して伝える癖がある。
癖というより、自己防御本能みたいなものなんで積極的に人と場を選ぶ。
言ってはいけないことを言ってはいけない場所で言ってはいけない人に言ったら何が起きるか。
想像しやすい。
伝える場と伝える人、伝えることを慎重に選ばないといけないが結局それが誤解を生むきっかけになる。
また、ほとんどの人には一般常識から外れると危険という恐怖心があるので、伝えたい事を一般常識範囲内に収める努力をする。
こんな事を言いたいが、言ったらどう思われるだろうか、一般常識を外れた事を言ってバカにされたら怖いので言いたいことを言いたいままに言えない。
そこで本来の意味がずれてしまう可能性が十分あり得る。
これが後々誤解につながってしまう。
誤解がどうしても生じてしまうのはこの3つの癖があるからです。
そして、大概無意識にやっているので誤解に気づくことはありません。
なので、誤解はしょうがないなと言いたいところですが、誤解が原因で失敗したらダメなので改善した方がいいです。
そこで参考になるのは誤解を解くメタモデルという方法です。
実践心理学と言われるNLP心理学の重要な話術として長年活用されているものなので実用性があります。
メタモデルとは、簡単に言えば具体的な質問をすることです。
省略され、解釈が加えられ、一般常識化されてしまった情報を具体的な質問をすることで復元できる。
例えば、次のような会話を想像してみてください。
みんながそう言っている。あの人は◯◯だと。
このように言われたら、大体の人は深く意識しないで皆が言っているから多分あの人は◯◯だと思い込んでしまう。
あの人は◯◯だと根拠なしに決めつけるのは良くないし、事実と異なる可能性もある。
そこで冷静になってメタモデルを使うと次のようになる。
皆と言っているのは誰のことでしょうか。
どの範囲にいる「皆」なのか。このグループなのか、この会社なのか、あるいはこの部屋や建物内に限るのか。一人や二人が言ったことをみんなという表現で膨らませているだけかもしれない。
さらに掘り下げれば、あの人が◯◯だと言われるキッカケは何なのか、何か出来事が過去にあったのか。
もし、そうであればそこに居たのは誰なのか。この部屋にいる人全員なのか、一人なのか。
本当にあの人が◯◯だと思わせる行動をとったとしても、本人がそのつもりはなかったかもしれない。
例えば、あの人に挨拶したが無視された、多分私のことが嫌いというケースはありがちです。
実は他のことを考えていて挨拶を返す余裕がなかったかもしれない、周りの音が大きくて挨拶が聞き取れなかったかもしれない。
目や耳が悪いかもしれない。単純に気づいていなかったかもしれない。
挨拶を無視したからと言って嫌いと思うのは誤解の可能性があるということです。
もう一つの例をあげます。
私は人に質問されると緊張してうまく話せない。私は対人下手です。
このように自分の能力を低く評価する人がいます。エフィカシーが低い人です。
エフィカシーが低い人は、このように自分の価値を下げ、自信をさらに無くす。
そこで冷静になって次のように考え直すと自信を取り戻すきっかけになるかもしれません。
相手が聞くのはどんな質問ですか。
もしかして、人にあまり言いたくない事かもしれない、単純に詳しく知らないことかもしれない。
対人下手だと思うのはどんな場面ですか。なぜそのように思うようになったのか。
下手だと判断するのは誰と比べてですか。どんな基準で下手だと判断したのか。
対人とはどんな人が相手でもですか、それとも特定の人だけですか。特定の人だけならその人の態度が悪いかもしれない。
緊張しなくなったら対人関係が上手になるのか。
そもそも、質問されたら緊張すると対人下手をつなげていいのか。
緊張したら対人下手と言えるのか。
健康状態が悪いかもしれない、心臓の病気が原因で緊張するように感じることだってあり得る。
このように、なぜ、どうして、誰、いつなどの質問を繰り返すことで省略された事実、解釈誤った事実、偏った考え方を発見することができる。
それがコミュニケーションをはっきりさせるので誤解を防ぐことにつながる。
しかし、しつこく質問を繰り返すと相手が攻撃されていると誤解し、反発し始めるのでさじ加減が大事です。
これだけ気をつけておけばメタモデルは最高のコミュニケーションツールになる。
人を誘導することも自分の心をコントロールすることも簡単になる。
誤解が圧倒的に少なくなるので失敗も減る。間違った思い込みもなくなるので物事を正しい方向に導く原動力にもなれる。
メタモデルは是非活用してほしいテクニックです。
普段このように掘り下げる癖を作れば誤解を防ぐだけではなく、物事に対する理解も深まるので自信を持った行動ができるでしょう。